isono55’s diary

大好きな森田さんとV6のこと。日常のアレコレ。

『ヒメアノ〜ル』についてダラダラと。


不調のパソコン。
タブレットを引っこ抜いてみたら、今のところ安定…してるかな?
……タブレットどうしよう…。



こんばんは。



ヒメアノ〜ルのレイトショー。
…が、近場の映画館でもう終わりっぽかったので。
(そしてその映画館含め、今週末で上映が終了してしまうところがチラホラ…)
先日慌てて仕事終わりに行ってきました〜。


やってみたかった、1人でレイトショー。
しかも『ヒメアノ〜ル』。


最 高 で し た 。


最高でしたけど、他にお客さんがぼちぼち居てくれて良かった…
さすがに1人っきりだったりしたら怖かっただろう…。
見るものが『ズートピア』だったとしても、劇場内1人っきりでレイトショーは怖い。



そんなヒメアノ〜ル
そろそろ感じたことを自分のメモ的にでも綴ろうか…
と思って書いてみたら、なんだか妙に長くなりました…。


書くのにも分かりづらい「森田くん」役の森田剛さんなわけですが。
「森田くん」が役柄で、
森田さん」が本人のつもりで書いてます。
(分かりづらいし、ちょいちょい間違えて書いてるかも)


以下にダラダランと載せます。
思いっきりストーリーに触れてるので、これから初めて見るよ!という方はご注意を。




























■語らない「森田くん」


私は映画が決まってすぐに原作漫画を読んだのですがー。
原作の森田くんは自分の考え・思い・望みなどを語るけど、
映画の森田くんは全く語らない。


映画の森田くんの考えが伺えるのは、
居酒屋で岡田くんに反論するところと、
森田くんの脳内会議(?)が漏れ聞こえる一瞬くらい。


で。
そんな森田くんに関しての情報というと…
岡田くんと同じ高校だったけどちゃんと話したことはないということ。
高校の時にイジメられてたということ。
イジメていた川島を殺そうとしている時の言動。
川島を殺した日から、変わったということ。
「あいつヤベェんだよ」ということ。


途中でイジメられてる時の様子も分かるけど、
森田くんは一言も発しないし表情も見えない。


人柄も、考えも、やってることも、理解不能で。
ただただ「ヤベェ奴」な森田くん。


映画の終盤になって、岡田くんがやっとポロッと
仲良かった」「好きなゲームの趣味が合った」というようなことを口にして。
そこで初めて、イジメられてる時の森田くんの顔が見られる。
でもそれは「その時の目が忘れられない」と岡田くんが言うほど
変わってしまったらしい森田くんの表情なわけだけれど…。


そしてそして、最後の最後になって。
こんなことするような人じゃなかった
森田くんは優しい
…というようなことを岡田くんが明かして。
高校1年の始めの頃の、森田くんに会える。



結局最後まで見ても、
なにを思っているのか、なんのためにそんなことをするのか…
全く語ることなく凶行を重ねた森田くんに対して
共感することはできない。
共感する材料がそもそも与えられていない。
語られない部分を想像して、その想像の範囲内で同情することはできるけど。


原作とは違う、森田くんに対しての
「共感はできない」「悪いものは悪い」という突き放した姿勢は
良かったなぁ…と私は思いました〜。


まぁそもそも「森田くん」そのものが原作と映画では
根本的に違う存在になってますけど…
原作のストーリーを人にざっと説明しようとした時にとても難しかったし、
原作の森田くんの持ち味は、漫画のあの形ならではじゃないかと。思う。





■語らない「森田さん」


森田さん(ご本人)はこれまでにも舞台で…


人を斬ったり。
人を撃ったり。
首を飛ばしたり。
首を絞めたり。
毒を盛ったり。
娼婦(自称妊婦さん)のお腹を蹴ったり。
奥さん(妊婦さん)のお腹を蹴ったり。(それ以上のこともした)
奥さんの舌を噛み切ったり。
金閣寺に火をつけたり。
首吊り死体とお友達になったり。


…まぁ色んなことをやってのける人物を演じてきましたけど。
おのれの心情を語らない人、っていうのは思えばなかったような…?


というか、目を爛々と輝かせて想いを吐露する演技が
森田さんの十八番!くらいに私は思っていたので。
今回の「森田くん」を演じる様は、新鮮だったし衝撃でした。



そもそも森田くんの第一声にビックリしましたよ…
あ、森田くんってこういう声で話す人なんだ!って。
森田さん(ご本人)の様々な声色はこれまでにもいっぱい聞いてきたはずなのに、
第一声は…うん…驚いたなぁ…。


声と言えば。
予告映像で挟み込まれてる
とても人間の目には見えなかったよ…
死ねって言ってんだろ!
っていうセリフが、予告から想像した箇所とは違ったシーンの言葉だったのは、
意外だったし「おぉ…」と思ったりもしました〜。





■愉快で不気味な人たち


森田くんの凶行のインパクトが物凄いんですけど…
ふと他の人たちを省みてみると、
それぞれにどこか歪んでるような不安定なような言動をしてて
これまた怖いなぁと思う。



「ヤバイよ」と言いながらも、殺人への誘いにのってしまう和ぐっちゃん
「本気で言ってんのかよ」と言いながらも、殺人への誘いにのってしまう和ぐっちゃん。(2回目)


「私、和草くんと離れたくない」「絶対にイヤ」と泣きながら
「森田を殺して普通の生活を取り戻そう!」とか言い出しちゃう久美子ちゃん


知り合ってもいない、会話もしたこともない相手を
一方的に「運命の人」と決めて思いを募らせる安藤さん
仕事のパートナーを早々に「親友」認定した上で
「親友」の義務を押し付けてくる安藤さん


「黙ってればバレないですよ」
「色んなこと、いっぱいしようね」
「安藤さんが死ぬわけないよ」
「だってそれは…」
これが本心からの言葉だったら恐ろしい…というほど、
どんな時でも無邪気に響く一言を発することのできるユカちゃん


イジメの首謀者の前に引き戻すために、
イジメから逃れようとしてた友達に嘘をついた岡田くん
黙ってればバレない…というユカちゃんに同意して、
ユカちゃんを「死ぬほど好き」な親友(自称)に嘘をついた岡田くん
自分でドッキリかと思うほどに奇跡的に付き合えた彼女に対して、
不躾な質問を押し気味にしてはイジケたり怒ったりする岡田くん
彼女を泣かせてしまっては「キライにならないでね」と言う岡田くん



うーん…
見てて笑ってしまうような言動もあるけど、
それがもたらした(かもしれない)結果を思ったりすると。
皆さん な か な か じゃないですか?


久美子ちゃんはちょっと甘えん坊な言動…から
「それダメだ」な事態にまっしぐらに突き進むのがインパクト大でした。
たとえ彼らにとって「この上ない悪」であっても、人を殺した自分たちが
「普通の生活」を過ごせると思ってるのがどうにも怖いんだよなぁ…。
でもって、何度見ても宇田川満代先生花子とアン
同じ人に思えないんだよなぁ…役者さんって凄い。


岡田くんは…なんだろう。
パッと見は人畜無害な感じなんだけど、他人の痛みをスルーするスキルが凄いな!と思う。
人の痛みに鈍く、自分の痛みには敏感という…
岡田くんがこれまで生きてきた中で身についてしまったスキルなのかなぁ…。





■居酒屋での森田くん


瞬きをしていないようなポカリとした森田くんの目が恐ろしい居酒屋。
森田くんの喋りにゾワゾワしっぱなしの居酒屋。
カメラが不安定に揺れ動いてて、明るいはずの序盤シーンなのに
すっげぇ怖いんですけど!な居酒屋。


そこでの岡田くんの「困った職場の上司」の話に対しての返しが、
なんであんな奴と仲良くしてるわけ?」って。


子 供 か 。


その言葉、ちょっと懐かしいわー…
小中学校の頃はそんなやりとりが友達内であったりしたけどさぁ…
職場の上司に対して、普通は(普通の上司ではないけど)仲良くとかいう種類の話ではないんじゃ…
と最初ビックリしたんですが。
思えば森田くんにとっての「人付き合い」は、学生時代で止まったままなのかな…。


岡田くん相手に「夢見るなって」と現実をつきつけるけど、
森田くんは森田くんでずっと悪い夢の中を生きていそうだ…。





■森田くんの高校生活


クライマックスで森田くんに対峙した岡田くんが
笑ったことを怒ってるんだよね?」と謝るけど…


え。そっち?
って見るたびに不思議な気分になります。


まず気に病むのは「登校拒否してたのを、嘘までついて登校させた
というとこかと…思うんだけどなぁ…
「人ならぬ目でコッチを見られた」ことの方が岡田くん的には一大事なのかな…。
まぁどっちにしても森田くんは「覚えてないよ」と言うのかもしれないけど。


好きなモノを共有して家にまで連れて来て遊んでいた友人が
イジメをキッカケに離れていって。
イジメから自分を守るために篭った家から、その友人に嘘をついて連れ出され。
そして行った先には…友人どころか
自分を痛めつける人間か、
自分を嘲笑する人間か、
自分を嫌がる人間くらいしかいない。


その時、森田くんの目に映る「この世界」は、どんなものだっただろう。


森田くんと和草くんが川島にフンを食べさせられるシーン。
校庭の片隅で行われる暴力のポツンと感が…
たくさんの人がいるはずの学校での、
誰もいない、誰も助けても気にしていてもくれない感じが…
とても苦しい。



森田さん(ご本人)が、女子高生たちに悲鳴をあげられるシーンについて
人から目を背けられる存在って、こんなにもやるせない気持ちになるんだと思った
…と雑誌のインタビューで話していて、
その言葉がずっと心の片隅に残ってます。


私には想像することしかできなくて、
でもきっと想像だけでは実際の痛みには届かない。
もし同じような経験をしたとしても、その痛みはその人だけのものなんだろうなぁ…。





■森田くんと岡田くん


最初のうちは、森田くんの意識が戻った(まぁ色んな意味で)のは
犬だとか頭を打ってるのだとかによるものかな〜と感じてたのですが。
何度か見てるうちに、その前の岡田くんの言葉が気になってきた。


どうして?なんでこんなことするの?
と、「優しかった森田くん」からの変貌ぶりを問う岡田くん。


あ な た が そ れ を 聞 く の か 。


いやいや…
確かに森田くんの変貌の原因ははっきりとは示されてないけどさぁ…
その変化の切れ端を見た覚えあるでしょう…
その一端を担った自覚もあるでしょう…
病院でユカちゃんに話すまで意識の外に追い出してたかもしれないけど、
さっき話したでしょう…
蔑んだような絶望したような」「とても人間の目には見えなかったよ」って。
森田くんが「覚えてない」と言ったから、他の何か!と思ったのかなー。


…と、まぁ私はブツクサ言いたくなってしまう岡田くんの言葉なんですが。
これを言われてる時の、森田くんの気配が…どうも…
これまでと違って言葉がちゃんと届いてるように、響いてるようにも思える。
(そして岡田くんはグサグサされちゃうわけだけど…)


この岡田くんの問いかけも、「意識が戻った」ことに関係してるのかな〜とか。
ひょっとして「どうして?なんで?」と聞いてくれる存在すらいなかったのかな〜とか。
アレコレ想像してしまいます。はい。





■かつての森田くん


ラストで「優しかった森田くん」が垣間見れるのは、
「森田くん」にとっては、「森田くん」という人物像にとっては、救いなんだろうなぁと思う。
今も昔も単なるヤバいやつ、で片付けることが難しくなるし。


でも…
仲良かった頃の親しさで笑いかけてくる森田くん、ただし血まみれ
…というのは、岡田くんにしてみたら結構な悪夢なのでは…。
記憶の彼方の温かい笑顔と、成れの果ての凄惨な現実を
いっぺんにドーン!と突きつけられるのは…怖すぎる…。


あと、視聴者(?)なコチラ側としても、
森田くんが徹頭徹尾「普通とは違う」人間な方が楽だったかもしれない。
新学期にたどたどしくコミュニケーションを図り、
友達とゲームをして笑い合い、
お母さんにぶっきらぼうに甘える…
とても理解できないような凶行に及んだ人間が、
そんなありふれた日々を過ごせていた男の子じゃない方が、楽だったかもしれない。

…岡田くん?
岡田くん来てたんだぁ…
そーだ、借りてたゲーム返さなきゃ…
あれ?ゲームどこいった…
おかあさぁん。麦茶2つ持ってきてぇ
またいつでも遊びにきてよ


もう誰かと話しした?
お母さーん!麦茶持ってきてぇ!


ぽろぽろ零れ落ちる、かつての森田くんのカケラ。
音楽も空気感も目に映る光景も温かく優しいのに、
すごく残酷で、苦しくて悲しい幕引きだなぁと思いました。





ヒメアノ〜ル


パンフレットにも書かれているように、
ヒメアノ〜ル」とは「強者の餌になる弱者」を意味するそうで。
それは森田くんによって殺された人たちのことかなぁと思ってましたけど…
高校時代の光景や、パチンコ後にボコボコにされてお金を強奪される様子からは、
森田くんは「強者」って感じには見えない。


特にラストの「かつての森田くん」が出現してからの、
食い千切られたように失われた森田くんの右足
捕食者と思っていた存在もまた被食者だった、と感じられる展開にはゾッとした。


森田くんを食らってきたものは何だったんだろう。
森田くんは何を食われてしまったんだろう。
色んなものに色んなところを食べられて、
森田くんはあんな空洞のようになったのだろうかー。


森田さん(ご本人)が『あさイチ』で語ってたことを思うと、
森田くんは「ヒメアノ〜ル」な自分とずっと戦っていたのかな。
その行き着いた先があの無残な姿での笑顔と思うと…どうすればいいんだ…。



岡田くんが最後に思い出した森田くんは、
岡田くんが食べたか、もしくは餌として差し出した「森田くん」かなぁ。


自分の平穏な生活を守るために、自分の欲求を満たすために、誰かを餌にする。
その選択を何気なくしてしまえるのは、
自らを「弱者」や「ごく普通の存在」と思ってる人なのかもしれない。
そしてそういう人たちが、最も恐ろしいのかもしれない。


この映画を見て、今ところはそんなふうに感じてます。
……我が身を振り返らざるを得ない…。





■好きなシーン


・タイトルが出るところ
雑誌インタビューで監督や森田さん(ご本人)も話題に出してたタイトル。
ほ ん っ と に カ ッ コ 良 い 。
ここだけ繰り返し見たいほどに好きなんですけど、
この前までの流れがあるからこそゾクゾクするんだろうな…。
森田くんの背中が映って、音楽の低音が響く瞬間が最高に痺れます。


・森田くんが空になった銃を捨てるところ
ここでも森田くんはもちろん何も語らないし、
横顔の表情もほとんど変わらない。(微かに目を眇めるくらい?)
恐ろしいはずのその空虚な佇まいが、なぜかとても悲しいものに見える。



特に好きなのはこの2箇所かなー。


タイトルが出てからの最初の犯行や、ラストシーン
「好き」という言葉では合わないような気はするけど…
毎回とても大切に見ています。




同じものを見ても感じ方・捉え方は人それぞれ…っていうのが
強く出そうな作品のような気がするので、
きっと色んな見方ができるんだろうな〜と思います。


私自身も見るたびに感じることが変わるし、
これからまた違うふうに考えることもあるんだろうなぁ…それも楽しみ。





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